近年見られる気候の変動は避けられない事実であり、農業にとって大きな課題となっています。コーヒーについても例外ではありません。
来るべき20-30年後に備えてコロンビアのコーヒー生産者たちは気候の変動による湿度や気温、日照度の変化など様々なシナリオを想定し生産への影響を最小限に抑えられるよう、日々研究を続けています。
気候変動に俊敏に対応し、持続可能なコーヒー生産を維持していくためにコロンビアコーヒーの生産者たちが現在採用している9つの戦略をご紹介いたします。
1. 科学的調査とサポート
2. 事前警告システム
3. 適正な肥料
4. 木の植え替え
5. 日陰の利用
6. 農園のメンテナンス
7. 適度な栽植密度
8. 抗さび病品種への入替え
9. 土壌の保全
科学的調査とサポート
コーヒー専門の研究施設CENICAFE(セニカフェ)では気候変動がコーヒーに及ぼす影響について科学的な調査が行われています。生産への打撃を事前に回避し、被害を最小限に留めるための対処方法を研究し生産者に伝達する役割を担っています。
事前警告システム
気候変動の予測は技術支援サービスを通じて事前に生産者に伝えられます。この事前警告システムのおかげで生産者たちは気候変動の情報を随時得ることができ、伝染病や害虫などの被害を回避できる仕組みになっています。
適正な肥料
気候条件と土壌の状態によって植物に与えるべき栄養は変わります。どの肥料をどのタイミングでどれだけ与えるか、生産者は作物の状態をみながら判断します。
木の植え替え
農園は適度な栽植密度に保ち若く、生産力に富んだ状態にしておく必要があります。
樹齢9年以上の木は気候の変動の影響を受け易く、生産力が落ちてしまう可能性が高いので抗さび病品種の若い木に植え替えます。
抗さび病品種への植え替えによって湿度の高い時期でもさび病の被害を避けることができます。
日陰の利用
コロンビアでは約半数の生産地域でシェード(日陰)式栽培方法が採用されています。日照が強すぎる、または乾期が長すぎる地域では必要不可欠です。反対に日照が弱く、乾期が短い地域では、コーヒーの木を日光にあてる日向式で栽培されています。いずれにしても鳥やその他の動物の棲家を壊さないように生産者たちは十分に注意を払わなければいけません。
農園のメンテナンス
乾期の間、害虫の発生を防ぐためには農園のメンテナンスが欠かせません。完熟、または熟しすぎた実は木から取り去り、地面に落ちた実もきれいに排除することで虫の発生はある程度予防することができます。
適度な栽植密度
栽植密度とは木と木の間に与えられたスペースのことです。最も適当な栽植密度はヘクタールあたり日向式で9、000本、シェード(日陰)式で5,000本です。土壌保全の実践と併用すると気候変動からの悪影響はある程度避けられ、生産量を維持することができます。
抗さび病品種への入替え
湿気はさび病が好む条件の一つです。そのため雨が降り、気温が上がるとさび病は急速に繁殖します。さび病への対応として生産者たちはカスティージョのような抗さびの品種に植え替えを行っています。
土壌の保全
通常、コーヒーは山の急斜面で栽培されています。土壌をよい状態に保つため、そして土地の侵食を避けるために木の周りの土の表面を軽い草で覆います。この草がクッションのような役割を果たし、コーヒーの木を雨から保護します。この方法によって殺虫剤の使用も抑えることができます。
以上の戦略はすでに数年前から実施されており、好ましい効果をあげています。
昨年からはエルニーニョ現象が起こり、コーヒー生産国各地でもその影響がみられましたが、コロンビアではその被害も比較的少なく抑えることができました。
また、生産量の保持に重きをおくだけでなく環境保全も視野に入れた将来的に持続可能な生産を目指している点でこれからの農業を考える上でのモデルケースになるのではないでしょうか。
それでは、Hasta luego〜✋