この調査はNGO団体であるCRS(カトリック救援事業会)を主催としてCIAT(国際熱帯農業センター)、米国WCR(ワールドコーヒーリサーチ)の支援により実施されました。さらにカップテイスター、輸出業者、FNCコロンビアコーヒー生産者連合会など世界各国の専門家たちの協力を得て厳密に結果を分析し、統計をとりました。
調査の方法はコーヒーのエキスパートであるPaul Songer氏の考案によるもので、ナリーニョ県の農園で収穫されたCastilloとCaturraの二種から22ペアのサンプルを採取し、そのIDをコード化したものパネリストたちに無作為に試飲してもらいました。パネリストたちは二度(昨年10月1〜3日、今年1月17-19日)にわたって試飲を行い、SCAAの採点方法に基づいて判定をしました。
調査の結果、「Castilloは高級品種であるCaturraと同レベルの豆を生産できる」ということが証明されました。しかしこの結果についてCRSのMichaelSheridan氏は 「品質の高さが認められ、コロンビアの方針としてはCastillo種を推していきたいところでしょうが、やはりイメージ的にCaturraを好むバイヤーは少なくないでしょう。」と指摘しています。
今回の調査により、品質レベルに差はない事が証明されましたが、虫害の免疫力の違いは・・・
Castilloは高級品種であるCaturraと同格の豆を生産できることが判明しましたが、病気に対する免疫力、生産力に着目するとCastilloの方が格段に強いことがわかっています。
CastilloはCenicafé(セニカフェ:FNCコーヒー研究センター)によって何年もかけて研究開発され、2005年に生産者の手に渡った品種です。さび病などの病気に強いだけでなく、様々な気候(地域ごとの気候の差も含め)に適応力があるため2009年から2014年の間、FNCの農園改良計画の一部として3.25億本が植林され、持続可能なコーヒー生産の実現のための重要な鍵となりました。
Caturraは優良な品種ではありますが、病気に弱い点は否めません。
Sheridan氏は「Caturraのみにこだわるバイヤーは、高いプライム価格を払うべきです。そのプライム価格が、コーヒー生産者が抱える虫害や病気に対するリスクをカバー出来るかは疑問です。」と述べています。
調査結果の分析
『同様の環境で栽培され、加工されればCastilloとCaturraに品質の差は生まれない』という調査結果は従来のCastilloに対する間違ったイメージを払拭しました。
同時にCastilloを育てるコーヒー生産者、各国のバイヤー、焙煎業者にとって非常に大きな影響をもたらします。
特にバイヤーや焙煎業者にとっては懸念の種となりそうです。
ナリーニョ産で付加価値の対象となっている豆の味の特徴が、実は品種とはあまり関係がなかったということが明らかになり、生産性の高い種であるCastilloなら同じ付加価値をもった豆をたくさん供給することができてしまうからです。
ご存知の通り『高級豆』を作り出すためにたくさんの要素が絡んできますが、栽培品種はそのひとつでしかない、ということがわかりました。これから生産者は各々の経済事情やその他の状況に応じて品種を選ぶことになるのでしょう。
Hasta luego✋