ユネスコの世界遺産に登録された地域を含むカルダス。
一つずつの農地の面積は小さいながら、
古くからコロンビア最大級の生産地域として認められています。
カルダスはコロンビアの中央西部に位置し、南北に伸びるアンデス山脈に対し、東西に広い県の形をしています。
山脈を横に切り取ったようなその県の形は、山麓から峰まで、広範囲の標高を擁することになります。
そのため同じカルダスと言っても、地域によって気温や天候状態は大きく異なります。
コーヒーを生産するのに適した標高は海抜1000メートルから2000メートル以上とされており、カルダスではそれぞれの標高で、異なるコーヒー生産システムの開発が可能です。
カルダスではそこかしこに、高い森に囲まれた小さな作地面積の農園があり、標高の高い山間部にコーヒーの木を適応させようと努力する生産者の姿が見られます。
またカルダスは、ユネスコが世界遺産として認定した「コロンビアのコーヒー産地の文化的景観」を構成する4つのエリアのうちのひとつです。
主な収穫時期:9月-12月
標高:海抜1,200 – 1,800 m
平均気温:摂氏21度
年間降水量:2,200 ミリ/年
コーヒー生産者:35,021人
コーヒー作地面積:44,558ヘクタール
– アロマ:はっきりしている、甘くフルーティな香り
– フレイグランス:同上
– ボディ:ミディアム
– 酸味:強い
– 全体の印象:はっきり際立つフルーティさと、クリーンカップ。ハーブのような香り
カルダスの県都、マニサレスの西にある「チンチナ」には、FNCのコーヒー研究センター「CENICAFÉ(セニカフェ)」があります。そこでは病気に強いコーヒーの苗の開発や、自然環境を守りながらサステイナブルなコーヒー生産を可能にする高度な農学研究が行われています。
FNCでは、コロンビア全土に対して農業支援の活動を行っています。
その農業支援の様子はテレビ番組にもなっていて「ヤルモ先生」というキャラクターが全国のコーヒー農家を訪れ、現地の人と交流したり、農業技術を教えるという内容の長寿番組です。(実際のテレビ番組の動画はこちら)
この農業技術支援サービスのイメージキャラクターである“プロフェソール・ヤルモ(ヤルモ先生)”を現在務めているのは、カルダス県リオスシオ出身の35歳、農学技術者で10年間FNCの技術支援サービスに従事していたダニエル・フェルナンド・チカ・ディアス氏。
彼のもつカリスマ性、人間性、そして親しみやすさなどが評価され、この大役を任されることになりました。
全国のFNCの技術支援スタッフの中から25人の候補者が選ばれ、さらにこの中から専門家が様々な選考基準によって最終候補者5人まで絞りこみ、最終的にチカ氏が選ばれました。
チカ氏はコーヒーによってコーヒー生産者の生活が豊かになるところを実際に見てきています。そしてそれが素晴らしい経験であったと、次のように語っています。
「生産者を豊かにすることはお金をあげることだと考えてしまいがちだけど、そうではないんです。生産量の低い、ロット(苗床)の状態もいまいちのコーヒー農家を技術支援スタッフが訪ねると、農家の方々の顔がぱっと明るくなるんですよ。これでロットが生まれ変わり生活がよくなる、ということがわかっているからなんですね。すごく印象に残る経験でした。ここで働くことは私にとって大きな幸せで、本当に満足しています。」
カルダスの中でも、アンデス山脈にかかった山岳地帯で特に、コーヒー生産が盛んです。その一部地域は、「コロンビアのコーヒー産地の文化的景観」としてユネスコに認定されています。今回は世界遺産認定地域 である、サラミナ(Salamina)をご紹介します。
世界遺産に認定されるひとつの理由となったのが、この地域一帯に建てられている独特の建築。カラフルな家や建物が、農園や町に彩りを添えます。柱には杉や胡桃材に複雑な彫刻が施されている芸術的な家もあります。
パティオやバルコニーを持ち、様式的にはスペイン建築に影響を受けています。ただし、構造躯体は現地で調達可能なグアドゥア(竹)でできており、非常にフレキシブルで耐震性があります。
このグアドゥアが生息している地域では水の供給が良く、CO2を多く吸収してくれるため、空気清浄にも一役買っています。
グアドゥアが特に多く集まっているのが「コーヒー生産地の文化的景観」地域で、コーヒーの栽培にも大きなプラス要素となるのだそうです。また、建築資材としてコーヒー生産地では精製所やビニールハウスにも使用されています。
※このページに掲載の写真はすべてFNCに帰属しており、無断で使用出来ませんのでご注意下さい。自由にご利用いただけるカルダスの写真素材はこちらにございます。